<伊東~伊豆高原>周辺 ~観光と自然散策~
<池田20世紀美術館>
わが国初の本格的な現代美術館として1975年オープン
海外巨匠の作品を中心に約1,400点所蔵。3ヶ月に1回企画展も
「池田20世紀美術館」は、わが国初の本格的な現代美術館として1975年5月、伊豆の一碧湖けやき通りにオープンしました。その土地・建物と約1,400点の所蔵作品の大半は、東証一部上場企業のニチレキ株式会社(道路舗装材料メーカー)の創立者・池田英一氏によって寄付されたものです。
所蔵1,400点のうち常時約100点が館内・外に展示されています。駐車場から玄関入り口まで階段を上る途中にも、伊豆高原にアトリエを構え、伊豆はもとより世界各所からも制作依頼のある彫刻家・重岡建治氏のブロンズ作品(家族)を見ることができます。
展示館の外壁は日本で初めてのステンレススチール張りというユニークな外観で、入り口から出口まで有機的に連なる空間造形の館内は、作品がとても鑑賞しやすい設計となっています。彫刻家・井上武吉氏の設計です。
所蔵作品は、20世紀に制作された絵画・彫刻で、特に『人間』をテーマにするものを中心に展示しています。ルノワール、ピカソ、マティス、シャガール、ウォーホル、ミロ、ダリなど、海外巨匠の大作や秀作を常設展示。所蔵作品のいくつかは、これまで国内・外からの依頼を受けて世界各所150ヶ所以上への貸し出し実績があるといいます(=最近の貸し出し例は下記「ウンチク情報」参照)。
常設展のほか、3ヶ月に1回のペースで特別企画展も開かれています。
<誰かに教えたくなる「池田20世紀美術館」ウンチク情報>
■ 展示館の玄関付近に立つ2体の石像にまつわる「一碧湖伝説」
=玄関付近に佇む2体の石像(大池の赤牛=写真)は、寛永の昔、大池(今の一碧湖)に住む赤牛が船をひっくり返しては人を食い殺すなどの悪さをしていたが、この村人たちの悲話を知った近くの光栄寺の日広上人が大池の小島に渡り、七日七晩読経して赤牛の魔力を封じ込めたという民話をもとに制作されたもの。
赤牛は自然の暴力を象徴し、僧侶はこの暴力を鎮圧し、自然と人間との共存を祈る心を象徴しているという。
■ 展示作品にまつわるウンチク情報やエピソード
(1)ピエール・ボナール作「洪水の後」は、250×450cmという油彩の大型作品だが、パリのオルセー美術館にも旅立ったことがある。作品の主題は「牧歌的な地上の楽園で人間や動物たちの平和と幸福」といったところ。もともとは4枚の作品からなり、他の3枚は、米国サンタフェのジェラルド・ピーターズギャラリーと、オルセー美術館に2枚所蔵されている。
(2)アンリ・マティス作「ミモザ」は、米国ボストン美術館や英国ロイヤルアカデミーにも飾られたことのある切り絵。マティスは、ピカソと並んで20世紀絵画の可能性を深く極め、大きな成果を残した偉大な巨匠である。晩年は健康上の理由もあり、マティス芸術の全体像とも言われる表現手段の切り絵に専念したという。
ボナール作「洪水の後」(上)とマティス作「ミモザ」(右)
(3)サルバドール・ダリ作「ヴィーナスと水兵」は、2019年4月から長崎や姫路、札幌、静岡、東京ステーションギャラリーなどに貸し出され全国各地の美術館を巡っており、2020年4月中旬に同館に戻ってくる予定という。
(4)ウィレム・デ・クーニング作「記号の女」は、昨年のなんでも鑑定団・正月特別番組にも登場した作品。番組に出演した芸能人の評価額は3万円の最低額から高値でせいぜい5千5百万円の値踏みだったが、実際の評価額は当時3億円とされた。
(5)フランシス・ベーコン作「椅子から立ち上がる男」は、極度に変形された独特の奇怪な人間像を表現、時価100億円との評価もある不思議な絵画。
※上記作品の中には著作権の関係で写真が掲載できないものがあります。館内で実物の作品を見つけてぜひじっくり鑑賞してみてください。
<以上、取材時期:2020年2月)
■「池田20世紀美術館」HP、特別割引券など↓
https://www.nichireki.co.jp/ikeda/introduction.html
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