<伊東~伊豆高原>周辺 ~観光と自然散策~
<伊東〜伊豆高原>紀行/駅から“徒歩旅&バス旅”体験記
「伊豆高原」と「城ヶ崎海岸」の豊かな自然に出会う
<連載:その(2)>
伊豆高原周辺には、自然散策にうってつけのスポットが目白押しだが、
前回に続いて今号は、その代表的な観光スポットともいえる
「大室山」を訪ね、その雄大な自然に触れてみた。
■まずは「大室山」へ・・・。およそ4,000年前の噴火によってできた
~お椀を伏せたようなスコリア丘の美しい山体/標高580m
伊豆高原駅構内の<ジオテラス伊東>で「伊豆半島ジオパーク」の知識に触れたあとは、この旅紀行のテーマでもあるガソリンを使わず、排気ガスも出さないエコ志向の“電車旅”の延長で「駅から徒歩旅&バス旅」をさっそく実践することにする。
まずは駅から路線バス「シャボテン公園」行きを利用して最初の目的地である「大室山」へ...。さっき学んだ「伊豆半島ジオパーク」の代表的なスポットでもある。
伊豆高原駅・桜並木口(北口)のバス・ターミナル側に出ると右手すぐには足湯「美足の湯」があり、家族連れなど何人かの観光客が和気あいあいと利用していた。
シャボテン公園までは駅から桜並木経由やグランパル公園経由などの路線バスが出ている。どちらも終点のシャボテン公園には20分ほどで到着する。バス停前に見上げる大室山は標高580メートル。お椀を伏せたようなスコリア丘の美しい山容が目の前にそびえている。
スコリアとは、粘性が小さくて流れやすい溶岩マグマのしぶきのこと。およそ4,000年前の噴火でできたとされる大室山は、そんな軽石状のスコリアや火山弾が噴水のように吹き上がる噴火(溶岩噴泉)によって形成され、長い歳月の中で今のような美しい円錐形の山体になったということだ。毎年2月に行われる「山焼き」のあとの芽吹きも、その草山の美しさを一層引き立てる。
■広大な海景色や富士山など、360度の大パノラマを堪能!
〜車椅子やベビーカーでも回れる、周囲1kmの“お鉢めぐり”
大室山の頂上までは、リフトで上がることができる。
チケット売り場にはかなりの人が並んでいたが、リフトが二人乗りということもあって人の流れは思いのほかスムースだ。徐々に高度を増していくリフトからの景色も素晴らしいが、頂上に着くとさらに眺望がひらけ360度の大パノラマが堪能できる。
頂上には、周囲約1㎞の山頂遊歩道 “お鉢巡り” が待っている。
ところどころに起伏があったり階段があったりするが、何年か前に路面がきれいに舗装され、スロープが設けられたりして、身障者や歩行が不自由な人でも車椅子を使って一周できるようになっている。リフトに積み込めればベビーカーでもOKという。山頂売店の横には無料レンタルの車椅子も用意されていた。
パワースポットといわれる火口跡ではアーチェリーを楽しむ光景が見られた。火口跡に降りる途中には鳥居があって小さな神社が祀られている。御祭神は磐長姫の命(いわながひめのみこと)というお姫様で、富士山をはじめ全国で多く祀られている木花開耶姫の命(このはなさくやひめのみこと)のお姉さんということだ。
大自然のパノラマを楽しみながら遊歩道をゆっくり1周すると、眼下には伊豆高原の町並みや麓に広がる「さくらの里」、雄大な天城連山や水平線に浮かぶ伊豆諸島はもとより、晴れた日には彼方に富士山や南アルプスも眺望できる。伊豆高原を代表する人気の観光スポットであることを改めて納得した。
大室山・山頂の周囲1㎞の遊歩道からは360度の大パノラマ…
〜晴れた日には秀麗な富士山や伊豆七島の眺望も堪能できる
■開催中の『クラフトの森フェスティバル』を見学〜140ブースが出展
空中散歩を堪能したあと麓まで降りると、さっき眼下に眺めた「さくらの里」を会場として『クラフトの森フェスティバル』というイベントが開催されていると聞いた。さくらの里までは徒歩で10分ほどなので、散策がてら覗いてみることに…。
会場には多くの人が詰めかけていた。順路に沿って歩を進めると、なだらかな大室山を背景にして陶芸や絵画、木工品やガラス細工、布製品や自然素材を生かした手づくり作品など、さまざまなユニークな製品が展示販売されている。なかには自然の中の緑の空間をギャラリーとして、地元陶芸家による個性豊かな作品群や、金属廃材を利用したユニークな廃材アートなども鑑賞できた。
向こうの芝生の上では、ヨガ体験や太極拳入門教室が開かれている。こちらの絵本の館という場所では、ちびっ子向けの大型紙芝居が演じられ、ポプリや栞(しおり)手作り教室などの無料体験コーナーも開かれていた。
この『クラフトの森フェスティバル』は、今年ですでに20回目を迎えるという伝統あるイベントだそうで、全国各地から個性派のものづくり職人やクラフト作家が一堂に参集、その数なんと約140店にも及ぶ。開催期間は3日間だが、全てのブースを見て回るだけでもたいへんだ。…いつの間にか時刻は夕方4時過ぎ、すでにイベント最終日の終了時間が迫っていた。来年はもっと時間に余裕を持ってじっくり見に来たいと思った。
『クラフトの森フェスティバル2018』会場風景
(*特集内・写真協力:伊東市観光課、伊東観光協会)
<この特集:次号へつづく>